2017/07/09
羊蹄山1898m)日本百名山

羊蹄山(ようていざん)は北海道後志地方南部にある、北海道を代表する山の一つです。その綺麗な円錐状の山容から、「蝦夷富士」と呼ばれて地域の人に親しまれている山です。その圧倒的な大きさは麓から見れば一目瞭然で、「富士」の名前がついているのも納得するほど。そして登山のつらさも本家富士山と似ていて、コースタイムは往復8~10時間かかるロングコース。今回その「蝦夷富士」に登ってきましたが、やはりタダでは登らせてくれませんでした・・・。しかしそれ故に、山頂に着いた時の喜びは大きなのものになりました。

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今回、なんで羊蹄山に登ろうかと思ったかというと、別に対した理由はなくて、この前の日に登った樽前山・風不死岳に近かったからっていう、ただそれだけ(笑)。

ただ最初はそう思ってたんだけど、支笏湖から登山口のある真狩村(まっかりむら)まで移動していた時に、北海道の大きな田畑から見える大きな大きな、富士山見たいな羊蹄山を見て、「明日はこれを登るのか・・・」と少し尻込みする始末。とりあえずせっかく来たし、記念に登っておきたいなと心を奮い立たせて、羊蹄山がよく見える道の駅で車中泊しました。

羊蹄山はヒグマが生息していない山みたいです。どうにも、ヒグマが生きるために必要な水が羊蹄山にはないからってのが理由みたいです。しかし色々調べてみると時々羊蹄山でヒグマを見たり、ヒグマらしき動物のフンを発見したりと、必ずしもいないってわけではないみたい。よそのヒグマが食料や寝床を探してやってくる、「通りヒグマ」みたいなのもいるそうなので、慢心せずにヒグマ対策は万全にして登山しましょう。

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いつも通りの朝4時に登山口の一つ、真狩コースの入口の羊蹄山自然公園に到着。朝早いのにこれまた多くの車が停まっていてビックリ。北海道の朝は早いなぁ。ここの公園はキャンプ場になっていて、この駐車場は登山者用のもの。駐車場は無料でトイレはキャンプ場のトイレを借りれます。キレイなトイレでした。

羊蹄山には4つの登山口があって、よく登られているのが倶知安町(くっちゃんちょう)から登る比羅夫コースと、今回の真狩コース。コースタイムもお互い往復で8時間とかそのくらいかかるし、標高差もどちらも1500mくらいあるのかな?まあなんにせよ、かなりのロングコースってことがよく分かる。

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麓は晴れてたけど、上を見ると少し雲がかかってる。でも、雲があるのは中腹だから山頂は晴れてるはず!と思いたい。

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坂道を少しだけ登ると羊蹄山の入口に。ここからコースタイム約8時間、標高差1500m、距離にして12kmの長丁場の登山が始まる。気合を入れて登山名簿に名前を書いて、4時30分に入山!

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登山道はいきなり急登で、道も土がむき出しで歩きづらい。しかも所々ぬかるんでいるので滑る。出だしから羊蹄山の洗礼を受けることに。

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登山道自体は気持ちのいい樹林帯ですが、やっぱりこの時期の樹林帯は暑い。朝早くから登っているにも関わらず、歩き始めてすぐに上着を脱ぐ。汗もダラダラ出てくる。

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登山道には〇合目と目印が置いてあります。これも富士山風。写真が一合目じゃなくて二合目なのは、単に写真の撮り忘れとかではなく、ガッツリ人の顔が写っちゃってるから(笑)。

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こんな標識も出てきた。どれくらい進んだんだか分かんない(笑)。むしろもう三合目かと思ってぬか喜びしちゃったよ(笑)。

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基本的に展望のきかない樹林帯ですが、時々展望が開けると真狩の町並みが見えてくる。建物が一箇所に集中していて、他はほとんどが田畑。やっぱり北海道は土地が広いなとか考えてた気がする。

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そして三合目。ここまでずっと登り。そしてこれからもずっと登り(笑)。こんなところも本家富士山チック。違うのは、展望の利かない樹林帯だってこと。

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それでも時々こんな風にいい景色を見せてくれる。のどかで素晴らしい景色。

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遠くには洞爺湖も見えました。湖の中に島があるのが特徴的な洞爺湖。あの「中島」と呼ばれる島は、エゾシカがたくさん生息しているらしいです。右に見える山が有珠山かな?

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そして四合目。ここまで登り始めて1時間程。しかしずっと続く登りに苦しめられてヘトヘトになってました。羊蹄山、ナメてた・・・。

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道中あまり危険な所はなかったですが、時にはこんなところも。道が崩れててロープを使いながら倒木によじ登って進む感じ。登りはいいけど、下りは怖かった・・・。

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そして五合目。もうこの頃には元気はすっかりなくなってました(笑)。

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こんなデカイ倒木も。もう写真を撮るのもキツくて、この辺りから写真を撮るのはほとんどしませんでした。

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そして六合目。この辺りで周りはガスってきちゃって、展望は一切無くなりました。そして残されたのは、ただひたすら登り続ける登山道と、ヘトヘトになった自分。気力はすっかり折れたのでした(笑)。それでも、せっかく来たんだからと自分を奮い立たせてなんとか進む。

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上まで行くとどんどんガスが濃くなって、展望どころか30m先の登山道もよく分からなくなる。ここまで来たら下山するより頂上の方が近いやと半ばヤケクソで登ってました。登りきれば自分が登った百名山の数が一つ増えるし(別にそこまでこだわってないけど(笑))、なにより途中で下山したくないという意地でずっと登ってた。

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そんでもって八合目。「頂上は晴れてる」を合言葉に進む。

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でも一向に晴れる気配がなくて、もう完全に展望は諦めてました。

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でもこの辺りから高山植物が増えてきて、少しではあるけど登山道に彩りを与えてくれる。これは樽前山でも見たイワブクロ・・・かな?

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おそらくこれはチシマフウロウという花っぽい。今調べてみてもよくわからない(笑)。

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そして九合目。この辺りからだんだんと登山道が変わってきて、土と木の根の登山道から、石とか岩の登山道に変わる。この辺りでエゾシマリスを見たけど、自分に背中を向けてて、写真を撮ろうと思ったらそのまま背を向けて逃げちゃいました。シャイなシマリスだなぁ~と思いつつ先に進む。結局、北海道に行ってシマリスを見たのはこれが最後でした。

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そしてこれ。樹林帯を抜けて、いよいよ森林限界ってところの写真。晴れてれば絶対いい景色が見れると思ったのに、やっぱりガスってた。むしろ濃くなってるような・・・。北海道まで来てなんでこんな中で登山なんかしてんだとか思ってた。道もガレ場で歩きづらくて落石しそうな道。でもこのあとにとんでもないミラクルが起こるなんてのは想像もしてなかった。

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ミラクルは一旦置き、登山の話。九合目から上は高山植物がたくさん咲いていて、斜面にお花畑が広がっていました。ただ携帯で撮ったからどの花なのかよくわからないっていうね(笑)。

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そしてやっと長かった登りを終え、山頂へと続く火口へと到着。羊蹄山は富士山のお鉢巡りのように山頂にある火口をぐるっと周回出来るようになってます。右に行けば最短だけど、少し危険な岩場のコース。左に行けば傾斜はそんなにないけど少し時間のかかるコース。どちらを行ってもさほど変わりはありませんが、自分はグルッと一周した時に岩場が下りになるのが嫌だから、岩場が登りになる右に行きました。

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登山道は相変わらずガスに包まれてますが、ガスが薄いのか太陽の光が少し漏れている。もしかしたらなんて期待を持ったけど、人生そんなにうまくいかないことは知ってる。どうせこのガスは晴れない。

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岩場の登山道は、こんな切り立ったところを進む・・・ことはなくて、少し岩を巻くようになっているので、そこまで怖くはなかった。まあ、下が見えないから自分がどんなとこに居るのかがよく分かってなかったんだけど(笑)。

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そして少しずつ山頂に向かっていったら、次第に周囲が明るくなってるような気がしてきた。まさかな、なんて思っていると・・・。

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あれ・・・?なんか晴れてるぞ・・・?

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うわぁーガス晴れたー!!ホントに急にガスが晴れて、青い空と白い雲と、下界の町並みが広がる素晴らしい景色が見れた!ヤベー!

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もう完全に周囲のガスが晴れて、この5分前にガスで真っ白だったことなんて忘れるくらいの景色が!

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しかも気づいたら山頂っぽいところもすぐそこに!もう一刻も早く山頂に行きたくて、苦手な岩場だってのも忘れて急ぐ。このタイミングを逃したら、なんだかまたガスっちゃいそうな気がしたんです。そのくらい、ガスが切れるのが急だった。

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そして山頂到着!!ものすごい青空が自分を迎えてくれました。展望なんか諦めてたし、むしろ登頂すら諦めかけたのに、いざ山頂に着いてみればこの青空!サイコーだ!!ってすごいテンション上がってました(笑)。興奮してたし、ものすごい感動した。ミラクル起きたー!!

羊蹄山の標高は1898m、日本百名山にも選ばれている、とても立派な山です。ちなみに、百名山には「後方羊蹄山」(しりべしやま)の名前で登録されています。

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そして山頂からの景色!京極や喜茂別の町並みが一望!独立峰ならではの、展望を遮ることのない圧倒的に広がるこの景色!頑張って登ってきた甲斐があった。

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火口周辺にあったガスも次第に晴れてきて、その大きな火口の全容が徐々に明らかに。

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こんな感じで、意外にもかなり大きくて深い火口でした。ガスってて全然わからなかったから、ガスが晴れたときはかなりビックリした。と同時に、岩場を滑落して火口側に落ちていたら・・・と思うとゾッとしました。

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遠くを見ると、小高いピークで景色を眺める人が。あの人も急に広がった景色に感動してるのだろうか。

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引いて撮ってみるとこんな感じ。なんだか形がかっこよくて、いつまでも眺めていたくなる。

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自分がさっき通ってきた道は、薄雲がかかったり晴れたりを繰り返していました。火口から上がってきたガスが山肌に沿うようにして外側へと向かい、空に流れていく。こっちも見ていて全然飽きない。

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振り返ると洞爺湖もはっきり見えました。道中で見るより上から眺めているので、その全貌がはっきりと分かるように。いやー、また見れて良かった~。

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ひとしきり山頂で休憩してから下山する。とりあえず火口の残り半周を歩く。ここは山頂の隣のピークで、旧山頂だったとこ。

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今まで歩いた方を振り返ってみるとまた少しづつガスが上がってきて、登山道に覆い被さろうとしてる。ホントに山頂にいた時だけ晴れてたような。

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火口は道幅が結構広くて、ガスに巻かれると辺りがよく分からなくなる。分岐も多いので、コースの確認はしっかりしないといけない。でも基本的に分岐には標識があるので一安心。

そういえば話は変わるけど、富士山の須走コースに、本来のコースとは違う方に誘導するペンキのマーカーがつけられていたそうです。しっかり白いペンキで、ご丁寧に矢印までつけてあったとか。去年の山小屋を閉めるときにはなかったようなので、誰かが故意につけたとしか思えない。今回は山小屋の人が気づいて、違うルートに行かないように進入禁止のロープを張っているそうです。

もし間違えてそのそのコースに進んでいたら道迷いや滑落による遭難が起きていたかもしれない。最悪の場合、誰かが死ぬことっだってありえる。富士山のような人が多くて管理の行き届いている山だから早期発覚・対応ができたけど、人があまり入らないマイナーな山やルートでそれが起こっていたらと思うと、背筋がゾッとします。

みなさんも山に登られる際はマーカーや赤いテープに頼るだけじゃなく、自分で地図を確認したり周囲をよく見たりしてルートファンディングをしっかりするようにしましょう。

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話は戻って、登山道は少し下って少し登ってって感じ。少しザレてる感じの道でした。

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でも斜面にはたくさん花が咲いてました。これはキバナシャクナゲの群生。

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本州のシャクナゲよりだいぶ小さい。けど、たくさん咲いててキレイでした。シャクナゲが咲いてるの初めて見たかも(笑)。

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そして火口を後にして、また真狩コースに戻る。晴れてたのは自分が山頂にいた時だけで、後はまた白いガスの中。やっぱり自分があの山頂に入れたのはすごい偶然でだったんだなと実感。

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これはたぶんハクサンチドリの花。この花は結構いろんな山で見た気がする。羊蹄山は高山植物の多い山でした。

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下の方まで下りてくると真狩の町並みが見渡せました。右下に見える畑みたいなとこの右側が登山口。まだまだ先は長い。しかもこの時間の樹林帯だから、熱がこもって蒸し風呂みたい。しかもこんな時に限って日が差してくる・・・。やっぱり羊蹄山は、ただでは終わらないんだな。

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だらだらと下り続けて、11時40分、ようやく下山!!汗はだくだくでヘトヘトでした。つらかったぁ~。だからこの時は本当に嬉しかった。一人でバンザイしながら歩いて駐車場に戻りました。登り始めてから7時間10分、意外と速いペースだった(笑)。これが疲労の原因なんじゃ・・・。まあ下山したから深くは考えず、早くお風呂を目指すのでした。

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お風呂は真狩にあるまっかり温泉に行きました。入浴料は500円と安いです。お風呂は広くはないですが、露天風呂からは羊蹄山が眺められます。さっきまで登っていた羊蹄山を眺めながらお風呂に入る。これがまたいい。さっきまであそこにいたんだよなぁ~なんてぼんやり考えたり。少し他人事のような感覚でお風呂を満喫しました。月曜は定休みたいなので、行かれる方は要確認です。



これで今回の登山は終わりです。この登山の前日に樽前山・風不死岳に登っていたので、少し疲れがあったのか、それとも樹林帯特有の蒸し暑さにやられたのか。もうバテバテの登山となってしまいました。道中ガスに包まれたときはいろんなものが折れそうになったけど、山頂で起きたミラクルに今までのことなんかすっかり忘れてしまって、ただただ絶景を眺めるばかり。それだけ衝撃的だったし、感動したし、なにより報われた気がして嬉しかったです。

登りの時は「もう2度と来ない」なんて思って、山頂についてあの景色を見たときは、「羊蹄山最高だ!」と思って、下山の時には「やっぱり2度と来ない」なんて固く誓ったけど、お風呂で羊蹄山を見ていたら「意外と悪くなかったな」なんて思うのでした(笑)。

「蝦夷富士」こと羊蹄山。その登りごたえや展望は、本家富士山にも負けない、つらくも楽しい登山になったのでした。


おわり


2017/07/09
登山口(4:30)→六合目(6:25)→九合目(7:20)→火口分岐(7:40)→山頂(8:10)→登山口(11:40)

歩行距離12.9km